一生記憶に残るゲームの一つになることは間違いない本当に素晴らしい戦いであった。
(記録上では2回目であるが、想いとしては)初めて近畿の頂点を掴んだ京都精華学園。
留学生の高さに対して技術とスピード、気持ちで戦った大阪薫英女学院。
近畿No.1を決めるのに相応しいゲームであった。
そして、何より素晴らしいと感じたのは、
この試合を経て、両チームのさらなる成長した姿が
イメージできた点である。
断言しても良い。
両チームはまだまだ強くなる。
令和3年度第68回近畿高等学校バスケットボール大会
女子決勝戦 大阪薫英女学院高等学校 対 京都精華学園高等学校
第1Q
薫英女学院 32 – 16 京都精華学園
薫英女学院の完璧な10分間でゲームがスタートした。
ドライブあり、アウトサイドあり、
華麗なパス回し、プレッシャーディフェンス。
インターハイ京都府予選で京都精華学園の強さを
目の当たりにしてきた京都のバスケット関係者に
衝撃を与えた薫英女学院のバスケットであった。
第1Q終了後
「 山本コーチの言葉で気持ちが切り変わった。 」(京都精華#4 瀬川選手)
との言葉通り、第2Qに入ると京都精華学園の動きが徐々に良くなる。
対する薫英女学院は素早いパス回しで
ノーマークは作れているが
肝心のシュートがリングに嫌われる。
第1Qはドライブでも点が取れていたので、
少しアウトサイドに偏りすぎた印象を受けた。
スコア18 – 36から京都精華は3本連続リバウンドシュートで得点を決めると
#6植村選手のドライブで26-36( Run 8 – 0 )。
( 前半の苦しい時間帯を繋いだ#6植村選手 決勝戦は3年生がチームを支えた )
さらに京都精華の追撃は続き、
#18 ウチェ選手がペイントエリアで得点を重ねる。
薫英女学院はファールが増え出し、苦しい時間帯。
#4都野選手の個人技でなんとか対抗するも
#8佐藤選手が3つ目のファールとなり交代。
すかさず京都精華学園はポストのハイ&ローで4点差まで詰める。
その後、薫英女学院3点リードで迎えた
第2Qラストプレイ京都精華学園ボール。
この流れでは同点もあり得ると思った矢先、
#4都野選手がスティールからの速攻を決め
42 – 37 の5点差で前半を終える。
京都精華学園ペースの第2Qラストで
薫英女学院が流れを断ち切ったかのように見えた。
しかし、第3Qに入っても京都精華学園の勢いは止まらかった。
インサイドを中心に得点を重ね、開始早々に逆転する。
一方の薫英女学院は#4都野選手のドライブ、#6熊谷選手の3P中心に対抗し、
互角の勝負に持ち込む。
( 熊谷選手は第3Qだけで3Pを4本決めた )
第3Q ラスト薫英女学院ボール#4都野選手の1on1。
3秒を切り、誰もがシュートで終えると思った瞬間、
残り1秒で熊谷選手へパス→ブザービーター3Pで
薫英女学院 60 – 62 京都精華学園。
クオーターのラストプレイを連続で物にする
都野選手の勝負強さに会場が湧いた。
勝負の第4Q
両チームを象徴するかのように
京都精華学園はリバウンドシュート、
薫英女学院は#4→#6のスリーで始まる。
一進一退の攻防となるが、
京都精華学園は「後半から自分のプレイができた。」という1年生の#16八木選手が
リバウンドシュートや速攻で得点を重ねる。
#18ウチェ選手だけでなく、#16八木選手の
得点が伸び出し、高さではさらに不利になるが、
薫英女学院はまだ離されない。
留学生を要するチームとの対戦は
どれだけ善戦しても、後半の何処かのタイミングで
離されるケースが多い。
体力的な疲労や、インサイドのファールトラブルが
主な原因であるのだが、
薫英女学院は粘り強く食らいつく。
京都精華学園を圧倒した第1Qのプレイよりも
この第4Qの苦しい時間帯のプレイに対して
近畿大会を11連覇してきたチームの底力を感じた。
近畿大会優勝チームの府県はウインターカップ出場枠が一つ増える。
両府内のチーム関係者からすれば、そこに対する期待もあったはずであるが、
ゲームが進行するにつれ、そんな事は忘れてしまっているのではないかと感じるくらい
素晴らしいゲーム展開が続いた。
大阪、京都、関係なく、
心の中で両チームにエールをおくっていたのではないかと思う。
( スピーディなプレイでゴール下に切り込んだ #9宮城選手 )
( チームを落ち着かせるゲームメイクを見せた #8山﨑選手 )
最後まで諦めない薫英女学院のプレイに
京都精華学園が冷静に対処して、
薫英女学院 79 – 85 京都精華学園
でタイムアップとなった。
冒頭にも書いた通り
これからの両チームの可能性を
大きく感じた決勝戦であった。
【 取材後記 その1 】
京都府以外で応援しているチームは
どこかと聞かれれば、私は一番に大阪薫英女学院と答える。
佐藤選手、福田選手、安田選手など京都の中学校出身の選手が
在籍していたということもあるが、応援するきっかけになった出来事がある。
今から10年以上前、舞洲アリーナで撮影があり、
大きな荷物を担いでフロアに入ろうとした時、
ドアを開けてくれたのが大阪薫英女学院の選手であった。
些細な出来事といえば確かにそうであるが、
誰も見ていないフロア入り口で
バスケット関係者ではない人物に対してさっと動けるのは、
上辺だけの生徒指導では絶対に出来ない事である。
挨拶などをきちんと指導しているチームでも
〝 言われているからやっている 〟選手は少なからずいる。
全国的に名の知れた薫英の選手の
コート外の行動を目の当たりにし、
それ以来、陰ながら応援させて頂いている。
今回の決勝戦が終わった後も、
スタメンで試合に出ていた選手が率先して
チームの荷物やボールケースを運ぶ姿があった。
試合中、何度も何度も感動するようなプレイを見せてくれたが、
試合後のこの行動に感銘を受けた。
素晴らしい選手はコートを離れても
魅力的である。
( 今回は薫英の選手の話題を取り扱っただけで、もちろん他のチームにも素晴らしい行動をしている選手はたくさんいる )
【 取材後記 その2 】
インターハイ京都府予選時もメンバー表には
名前が掲載されていたが、当日のエントリーで
変更になっている選手がいる。
#5 呉本選手である。
実は中学生の時は呉本選手が4番をつけ、
瀬川選手が5番をつけてチームを引っ張っていた。
ところが、高校では怪我に悩まされ、
思うようなプレイは出来ていない。
決勝戦終了後、瀬川選手に寄り添う姿を見て
心にぐっとくるものがあった。
インターハイでの活躍を楽しみにしている。
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リンク先:京都府バスケットボール協会