洛南高校と東山高校が全国大会への双璧となっている京都のチームにとって
近畿大会は自分たちの力を披露する絶好の機会である。
第68回近畿高等学校バスケットボール大会
男子1回戦 山城高等学校(京都府ベスト4) 対 育英高等学校(兵庫県2位) は
最後まで手に汗握る戦いとなった。
今回は近畿大会の山城高校のプレイを例に挙げて
高校バスケット界で通用する選手像について紹介する。
『 #1 ガード編 』
山城の特徴といえばまず高いスキルを持ったガード陣が印象的である。
特に#12島部選手、#18𠮷田選手、#88芥川選手の3人は
確かな基礎を土台として、
高い得点力とゲームメイク力を合わせ持っている。
3人の共通点として挙げられるのは
インサイド(ドライブ)で勝負できる
という点だ。
中学生の時よりも高校のヘルプディフェンスの質(高さ/ポジショニング)は高くなる。
どんな優秀なガードでも普通に突っ込むだけでは対応される。
高校で活躍できる選手はどこが違うかというと、
ディフェンスポジションとオフェンスポジションの動きを確認している。
つまり状況を把握した上で、勝負を仕掛けている。
その証拠に常にヘッドアップして
状況確認をしながら1対1をしている。
ミニバスや、中学バスケで
顔を上げ、ボールを見ないようにと
指導されていると思うが、
その成果は高校で出ると言っても過言ではない。
なぜなら
ミニバスは1対1で抜いた後、自分より背が低い選手がヘルプに来ることも珍しくない。
中学バスケでは180cm前後のヘルプディフェンスが1枚いるかいないかである。
つまり1対1で勝負できれば、ヘッドアップをせずに
中の状況把握が多少疎かになっても得点に結びつきやすい。
ところが、高校に入るとそうはいかない。
自分よりも10-20cmも高いヘルプディフェンスが
何枚も待ち構えている。
ミニバスや中学時代に会場を沸かせるようなプレイをした選手が
高校で結果を出せないケースをしばしば目にするが、
状況判断をせずに自分の好きなプレイをしたがる選手ほど
そうなりやすいと個人的には感じている。
次に3人の特徴であるが、
あえて分けるとすると
#12島部選手はスリーポイント、
#18𠮷田選手はドリブルクイックネス、
#88芥川選手はドライブが素晴らしいと感じる。
『 自分の長所を伸ばす 』
ことにより、プレイタイムを得られるのは間違いない。
相手がゾーンなら島部選手と芥川選手、
プレスなら𠮷田選手と芥川選手というように選手を使い分けることが可能である。
ただ、ここで必ず伝えたい事は
3選手とも【 確かな基礎 】を土台として
自分の長所を伸ばしているという点である。
ドリブル、パス、シュート、ディフェンス、
全てが及第点の上に、+@として自分の得意なプレイがある。
基礎が疎かになっている選手は
長所をいくら伸ばせても、プレイタイムを得られにくい。
例えば、𠮷田選手のスピードを活かしたフローターシュートは
基礎がしっかりしているので、一つの武器と言える。
基礎が疎かになっている選手がフローターシュートを試合で使っても、
ごまかしのシュートとなっている場合が多い。
フローターシュートを身につけることは素晴らしいチャレンジであるが、
やるべきことの順番と練習に割く時間の割合を
もっと基礎的な練習に向けた方が良いと感じる選手は少なくない。
レベルが上がれば上がるほど
基礎の大切さを実感した近畿大会であった。
【 取材後記 】
高校バスケットを中学バスケットと比べた時、
身長の高さにまず目がいく。
身長があまり高くない選手は
アウトサイドシュートの必要性を感じているだろう。
もしかしたら180cmぐらいの身長があったとしても
アウトサイドシュートを磨かないといけないと
感じている選手もいるかもしれない。
しかし、高校の試合で活躍する選手の大半は
インサイドで勝負できる選手である。
辻直人選手(広島)、伊藤達哉選手(名古屋)、岡田 侑大選手(信州)、寺嶋良選手(広島)など
今、現在Bリーグで活躍するガード陣も
高校生の時のプレイを思い返すとドライブが素晴らしかった。
京都府立山城高等学校 68 – 72 育英高等学校
インサイドで勝負できるガード陣は
近畿大会でも存在感を見せてくれた。
第2回へ続く。
リンク先 京都府バスケットボール協会
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